リフティングはサッカーの上達に必要なのか?

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リフティングの必要性

サッカーの練習でよく見るリフティングですが、昔から、リフティングは必要なのか?不必要なのか?とよく議論になる事があります。必要と言う人は、ボールコントロールの感覚を養うため、正しいフォームを身に付けるためになど、上達に欠かせないという意見を聞きます。逆に不必要という人は、フィジカル能力や体格があれば問題ない、別の能力が高ければそれでいい、などの意見をよく聞きます。どちらも正しいように思えますが、皆さんの考えはいかがでしょうか。かくいう私は必要だと思い、練習に取り入れている事も多いです。ここではそれぞれの考えに沿ってこの問題を深掘りしていきたいと思います。

プロの選手はどうなのか

実際にプロの選手は全員リフティングが上手いのでしょうか?プロになるほどなのだから、全員上手いはずだと思ってしまいます。スタジアムに観戦に行った時、選手がアップしている時にさりげなくリフティングしているのを見たときに、ウマッ!と思った人は多いのではないでしょうか。小野伸二選手や柿谷曜一朗選手はまさにそうですよね。

※Jリーグ公式YouTubeより引用

※名古屋グランパス公式YouTubeより引用

ここまでできる選手はプロの中でもトップオブトップだと思いますが、逆に言えば突き抜けてボールコントロールが上手いからプロになったとも言えるのではないでしょうか。ロングボールを足元にピタッと止めるシーンを見たとき、プロ選手は当たり前のように行っていますが、試合中のプレッシャーがある中でイメージ通りのコントロールをすることは、実はとても難しいことです。こういう時はリフティングが基礎となってコントロールが上手くなったのだなと思ってしまいます。

では、プロの選手の中でもリフティングが苦手な選手はいるのでしょうか?リフティングが出来ないと公言する人は中々いないので、本当のところは分かりませんが、世界でトップクラスの活躍をしたバティストゥータ選手はリフティングが上手くなかったと言われているそうです。さらにドイツ代表でW杯優勝経験もあるリトバルスキー選手がこんなことを言っていたそうです。
「日本の選手は、なぜリフティングの練習ばっかりして、ボールをゴールに入れる練習をしない?僕なんてリフティングなんて3、4回しか出来ないよ!!」

リフティングが必要だと思う理由

ここからはそれぞれの理由について考えていきたいと思います。まずリフティングが必要だと思う理由として、ボールコントロールの感覚を養う・空間認知能力の向上・ボディーバランスの向上…と挙げればきりがありませんが、サッカーをする上で大事な要素がたくさんリフティングには詰まっています。ボールが上下に動くので目線も上下し、動体視力にも良い影響を与えるでしょう。さらに現代のスピードが必要なサッカーでは、速いパスや多少の浮き球も正確に処理できる能力が求められます。リフティングを練習することで、当て感や浮いたボールに慣れることも重要なことではないでしょうか。では、こんなにいい事尽くしのように思えるリフティング練習が、なぜ必要ないと言われているのでしょうか。それは、リフティングの回数や見た目の華やかさにこだわるあまり、本来の目的から離れているからではないでしょうか。

例えば、所属チームにリフティング〇〇回出来なければ練習に参加させない!という決まりがあったとします。そうするとやりたいのはサッカーの練習なのに、サッカーの練習をする前にリフティングの練習をしなくてはいけなくなります。この時の選手の思考としては、早くサッカーの練習がしたいからリフティングはとにかく回数をこなせばいい。と思うようになってしまいます。行動としては、足先でひっかけて行う『ちょんちょんリフティング』や、利き足だけで回数をこなそうとする選手が増えてしまうのではないでしょうか。そうなるとサッカーの技術ではなく、リフティングという競技の技術が身に付くことになります。他にもフリースタイルの選手がやっているような技をひたすら練習させるようなことも、サッカーの練習としてはあまり効果的ではないと思います。見た目が華やかで子どもたちは喜んで練習してくれますが、サッカーの試合中にリフティングでボールを回したり、挟んだりはしないですよね(^^;
そういった事が起きてしまうと、リフティングはできるようになったけどサッカーは上手くならない。という本末転倒な結果を得てしまう事になります。そのリフティング練習で何を身に付けたいのか、どのような目的で行っているのか、本来の目的である、サッカーの上達という目的からぶれないようにすれば、リフティング練習は効果を発揮してくれるのではないでしょうか。

リフティングが不必要な理由

逆にリフティングが不必要だと思う理由についても考えていきたいと思います。上記のようにリフティングが上手くなくてもプロで活躍できている選手も多いです。そういった選手の特徴としては、

  • 背が高い
  • 足が速い
  • 体格がある
  • 駆け引きが上手い
  • 持久力がある

など、ボールコントロールの技術以外で他の人よりも秀でて優れていることが多いように思います。ボックスtoボックスで走れる選手、190㎝近い身長でポストプレーやヘディングの強い選手、サイドの1対1はスピードで必ず勝てる選手などは、たとえリフティングが上手でなくても試合で活躍できます。そうのような選手が活躍することで、技術の足りない選手の希望になることにも繋がります。私自身も子どもの頃は全くリフティングが出来ず、自分に自信が持てませんでした。しかし、当時の日本代表だった中山雅史選手を見てものすごく憧れました。ゴール前の駆け引きや、相手DFよりも1歩早く飛び込む勇気、パスが来なくても常にゴールを狙えるように動き続けることなど、技術の無い自分にもまだ出来ることはある!と思わせてくれました。サッカーはオフザボールの時間が全体の9割で、ボールを持っていないときがとても大切です。そのオフザボールを追求することで、たとえリフティングが苦手でオンザボールの技術が足りなくても試合で活躍できる選手になれるのではないでしょうか。

リフティングは練習に取り入れた方がいいのか

最後に時間を割いてリフティングを練習に取り入れた方がいいのかどうかについて考えていきたいと思います。自分自身の経験になりますが、学生時代はリフティングは必要ない(やりたくない)と思っていたため、自分の技術に自信が持てませんでした。卒業後は縁あって指導の道を選ぶのですが、そこで初めて本気でリフティングを練習しました。(見本が見せられないと恥ずかしいという思いから)子どもに見本を見せるために綺麗なフォームを意識して、さらに色々なタッチでリフティングを行っていき、回数も初めて1000回まで出来るようになりました。すると、今まで浮き球や速いボールのトラップが苦手でしたが、自分に自信が持てるくらいにボールを止められるようになり、シュートもミートが上手くなったことで強くて正確なボールが蹴れるようになりました。そして何より、自分が今まで出来なかったプレーやイメージ通りにボールをコントロールできるようになったことで、サッカーがより一層楽しくなりました。そして、あんなに嫌いだったリフティングもむしろ楽しんで出来るようになりました!

リフティングが出来なくても試合で活躍できる選手はいますが、考え方を変えてみると、スピードや高さなど素晴らしい個性があった上でボールコントロールの技術が高ければ選手としてさらに高みを目指せるようになります。そして、才能ある選手が技術を身に付けることでサッカーが楽しくなり、これからもサッカーを続けること、努力を惜しまないことにも繋がっていきます。自分のイメージ通りにプレーできた時は本当に嬉しく、楽しい気持ちになりますよね(^^)
リフティングの上達は選手の自信に繋がり、サッカーを楽しいものに変えてくれます。私は自分自身の経験からそのように思っているため、子どもたちの練習にもリフティングを取り入れています。皆さんも色々な考えをお持ちでいると思いますが、教わる側にとってプラスの影響になるように練習を組んでみるのがいいのではないでしょうか。その中の一つとして。

1セッションメニュー ウォーミングアップ シュート ディフェンス ドリブル パス&コントロール ポゼッション 崩し 練習メニュー

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