サッカーの試合分析とは
現代のサッカーにおいて試合分析は多くの人が取り入れている手法の一つとなっています。日本代表の試合をYouTuberの方が試合映像を使って独自の分析をしていたり、ネット掲示板でも毎回多くの投稿が見られます。
なぜ、今こんなにも試合分析をする人が増えているのでしょうか。それはプロとアマチュア問わず、勝つための手段として効果が高いからではないでしょうか。ブラジル代表やフランス代表のように、個人能力が飛び抜けている選手が多ければ勝つ確率は高くなりますが現実はそうではありません。
自分のチームよりも強いチームと戦う時には、戦術という武器が必要になります。その戦術を考えるために『試合分析』をすることが必要となってきます。では試合分析するにはどうすればいいのか、どんな考え方をすればいいのか、これからサッカーの指導をしてく方やまだ日が浅い方へ向けて、その方法お伝えしたいと思います。
3つの試合の見方
サッカーの試合を見る時に、私は3つの視点から見るようにしています。
- ボール中心に主観的に見る
- チーム同士を比較しながら見る
- 個人に注目して見る
それぞれの特徴を解説していきたいと思います。
ボールを中心に主観的に見る
これは主にサポーター目線で見る時のものです。応援したいチームを深く考えずに楽しんで見たい時は、大体ボールを中心に主観的に見ていることが多いです。ボールを中心に見るので、分かりやすいドリブル突破や良いシュートに対してリアクションが大きくなります。ファンやサポーターの方々はほとんどこの目線で見ているのではないでしょうか。
チーム同士を比較しながら見る
AチームとBチームのフォーメーションやそのかみ合わせを比較して見る視点です。多くの監督やコーチがこの視点を使って試合を見ていると思います。この見方をすることで、両チームの特徴や良し悪しが分かり、自チームにとって有利な試合展開になるような修正をかけることができます。今回おススメするのがこの見方になります。
個人に注目して見る
セレクションやスカウティングする時はこの見方になります。試合展開などは気にせず個人の能力や技術を見極めるために、ボールタッチ・オフザボール・姿勢・スピードなどに注目します。個人に注目することで、他の見方では見落としがちな細かい動きやスキルを見つけることができます。指導の現場でも非常に大切な見方の一つとなります。
『比較』と『間違い探し』
今回おススメする試合の見方は、チーム同士を比較しながら見る視点になります。難しそうに思うかもしれませんが、コツをつかめばすぐに出来るようになります。
コツ① 両チームのフォーメーション比較
まずは両チームのフォーメーションを『比較』しましょう。慣れている人は頭の中で出来るかもしれませんが、まずはボードを使ったり、紙に書くことをお勧めします。
上の図は、4-1-2-3(赤)と3-4-2-1(青)を重ね合わせたものになります。このように客観的に目で見えるようにすると、とても分かりやすいですよね。これが出来たら次は間違い(数的不利)探しをします。
コツ② 間違い(数的不利)を探す
フォーメーションを重ね合わせた後は局面を切り取って見ていきます。ディフェンスライン、サイドレーン、中盤エリア、アタッキングエリアに分けると分かりやすいでしょう。
例えば青チームが自分のチームだとすると、
黄色のディフェンスラインは3対1で数的優位となります。
緑のサイドレーンでは1対2と数的不利となります。
水色の中盤エリアでは2対3と数的不利となります。
赤のアタッキングエリアでは3対2と数的優位になります。
このようにして、数的優位か数的不利の局面を見つけることで、どこでボールを持てば有利になるか、逆にどこでボールを持たれたら不利になるかが見えてきます。
戦術に落とし込む
ここまで分析出来たら次は実際の戦術に落とし込みましょう。簡単に言うと、数的不利を解消していく作業になります。
例えば赤の④がボールを持った時に、このエリアでは数的優位なのでボール取りに行こうとすると、赤の⑦にパスを出されたら数的不利のエリアでボールを持たれてしまいます。
そのため、数的不利を解消するためにボールの追い方が大切になります。下記はその一例になります。
青の⑨が赤の⑤に出させないようにし、青の⑪が赤の⑦に出させないようにディフェンスをします。残りの人はマンツーマン気味に近くの相手選手を見るようにすると、数的優位のまま数的不利を解消することができます。
ここで大事なのが、茶色と黄緑の重なっているエリアです。ここは隣のエリアの選手が移動可能なエリアです。このエリアの移動をスムーズにすることで数的不利の解消に繋がります。
―――――今回のテーマは戦術がメインではないので戦術に関してはこの辺にしておきます。ボール保持の戦術も基本的には同じ考え方で構築できるので、ぜひチャレンジしてみてください。
選手の個性と戦術
このようにして戦術を組み立てていくにあたって必ず言われるのが、『戦術をとるか個性をとるか』です。ただ私はどちらかをとるのではなく、両立することが可能だと思っています。というのも、ポジションごとの役割で必要な能力や技術が異なるからです。
例えば背は低いけど足の速い選手が3CBのどこかでプレーしていたら難しいですしもったいないですよね。その選手の個性を活かすには長友選手のようにWBでサイドを駆け上がったり、前田大然選手のように最前線でプレスをしてくれたら、戦術的にも個性的にもハマります。
指導者の言うことを聞かないとか、背が低い・足が遅い・身体が弱いなどの理由で試合に出さないのは良くないですし、逆に言うことを聞く選手だからといって、個性にハマっていないポジションで使うのはもったいないと思います。
選手の個性と戦術が上手くハマるように考えて構築することこそが、指導者(コーチ・監督)の腕の見せ所だと思いますので、ぜひ選手を指導していらっしゃる方々には、そこにチャレンジしてみてほしいと思っています。
1セッションメニュー ウォーミングアップ シュート ディフェンス ドリブル パス&コントロール ポゼッション 崩し 練習メニュー
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